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復活の主、天に昇る

※本日小倉教会は八幡教会との合同礼拝を行いました。説教は信徒説教者の田村圭太さんが直方教会でされたものを掲載します。


ルーテル直方教会 説教

2023年5月21日 主の昇天主日(ルカ 24:44-53)


福音書  ルカ 24:44~53(新161)

44イエスは言われた。「わたしについてモーセの律法と預言者の書と詩編に書いてある事柄は、必ずすべて実現する。これこそ、まだあなたがたと一緒にいたころ、言っておいたことである。」 45そしてイエスは、聖書を悟らせるために彼らの心の目を開いて、 46言われた。「次のように書いてある。『メシアは苦しみを受け、三日目に死者の中から復活する。 47また、罪の赦しを得させる悔い改めが、その名によってあらゆる国の人々に宣べ伝えられる』と。エルサレムから始めて、 48あなたがたはこれらのことの証人となる。 49わたしは、父が約束されたものをあなたがたに送る。高い所からの力に覆われるまでは、都にとどまっていなさい。」

50イエスは、そこから彼らをベタニアの辺りまで連れて行き、手を上げて祝福された。 51そして、祝福しながら彼らを離れ、天に上げられた。 52彼らはイエスを伏し拝んだ後、大喜びでエルサレムに帰り、 53絶えず神殿の境内にいて、神をほめたたえていた。


 本日は、教会暦では主の昇天主日です。先週日曜日の日課であったヨハネ福音書14章15節以下には、イエスさまが天の父なる神さまのもとに戻られた(つまり、天に昇られた)後、聖霊が遣わされることを記しています。このイエスさまの昇天を記念する主日が、主の昇天主日です。


 本日の福音書の日課である箇所の冒頭(44節)で、イエスさまは「わたしについてモーセの律法と預言者の書と詩編に書かれている事柄は、必ずすべて実現する」と言われました。イエスさまは、ご自身が天の神さまのもとに戻られると聞いた弟子たちが「イエスさまが自分たちとはもう一緒にはおられない」と落胆しないように、弟子たちを励ますために語られました。このとき、弟子たちはイエスさまの十字架上での苦難、そして復活という事実に戸惑い、受け止められずにいました。その彼らに対して、イエスさまは弟子たちを元気づけ、立ち上がらせるために語られたのです。

 さらに、イエスさまは弟子たちの“心の目”を開いて聖書(今日の旧約聖書)についての説明をされました。弟子たちは聖書に記されているモーセの律法、預言者の書そして詩編に書かれている事柄について何度も聴いていたはずですが、今回は直接お話をするのが最後なのでで、ご自身の説明を悟らせよう、弟子たちの心に刻み付けたいと思われたのか、“心の目”を開いて語られました。

 そして、イエスさまは弟子たちに対して、ご自身の十字架での受難と復活、そして罪の赦しを与える悔い改めが世界中に宣べ伝えられるときに、「あなたがたはこれらのことの証人となる」と語って、弟子たちを力づけられます。


 このように、イエスさまは天に昇られるのを前にして、弟子たちを力づけ、励まされます。

 弟子たちがイエスさまと対面して話を聴き、接するのはこれが最後になるのですが、イエスさまが弟子たちを頼りなく、信頼できないと思っていたのではない、と思うのです。

 たしかに、弟子たちはイエスさまが十字架につけられたとき、怖くなって、仲間だと思われたくなくて逃げていきました。さらには、復活されたイエスさまに出会っても、すぐに受け入れられず、疑っていました。一人ひとりが弱い部分や信仰の足りなさをたくさん抱えた弟子たちだったと言えるかもしれません。

しかし、イエスさまは弟子たちを責められることは一切ありませんでした。それどころか、弟子たち一人ひとりを愛し抜き、これからの宣教のリーダー、担い手として大胆に活動できるよう、そしてご自身が昇天された後も強められて生きていけるよう励まし、力づけられます。「あなたがたはこれらのことの証人となる」というイエスさまの言葉は、弟子たちを力づける励ましの決め言葉であり、弟子たちに「自分たちは宣教活動をしていく」という新しい生き方を決定づけたのです。


イエスさまは弟子たちを祝福しながら、天へ昇って行かれました。

イエスさまの昇天が持つ意味は、復活の主イエスさまがただ単に父なる神のみ許に戻られた事実だけを認識して終わるものではありません。復活されてイエスさまが再び身体を得て、新しい、永遠の命を生きて、そして生きた身体のままで天に昇られました。主日礼拝において毎回信仰の告白として用いている使徒信条の中に記されていますように、「全能の父である神の右に座し、そこから来て、生きている者と死んだ者とをさばかれ」るというように、永遠に生きて働かれるのです。

イエスさまは昇天によって、地上でなされることになっていたすべての働きを完了されました。

イエスさまは弟子たちを祝福しながら、昇天されました。地上での働きの最後の最後まで、弟子たちに愛と恵みを注いておられるのです。そして、今日の私たちが神さまの恵みと愛の中で生きていくことを示しておられるのです。


イエスさまが昇天された後、弟子たちは大喜びでエルサレムに帰り、神さまをほめたたえていました。弟子たちには、イエスさまが地上におられないという悲しみなどありません。イエスさまが地上におられなくても、神さまが聖霊を送ってくださる。イエスさまがおられたときと同じように、聖霊が目には見えなくてもいつも自らの中にいてくださって、自らを守り、支え、強めてくださる。その確信を与えられたからです。その確信を、今日の私たちも信仰において与えられます。


 本日の日課の箇所ではありませんが、ヨハネ福音書14章25節以降の箇所で、イエスさまは弟子たちに、ご自身が召天された後、父なる神さまが聖霊を遣わされることを語られています。

 イエスさまは、弁護者であり、真理の霊でもある聖霊を弟子たちのもとに遣わされ、永遠にともにいてくださるよう、決して弟子たちをみなしご(神さまとのつながりがない、孤独な存在)にはしないと約束されています。この約束はイエスさまが弟子たちに向かって言われたものですが、同時に今日の私たち一人ひとりにも向けられています。

つまり、今日の私たちは2000年以上昔の弟子たちとは違って、イエスさまに直接顔と顔を突き合わせて話しをしたり、宣教活動を目撃したりすることはありません。しかし、イエスさまはご自身を受け入れて、自らの罪を悔い改め、そして神さまを見上げながら生きる私たち一人ひとりに、目には見えなくても寄り添ってくださる聖霊を送る、それによって神さまからの愛と恵みのうちに生きていく、と約束してくださっています。


イエスさまは弟子たちに、49節に記されている「父から約束されたもの」そして「高い所からの力」、つまり聖霊の力に覆われるまでは都つまりエルサレムにとどまっているように命じられます。そして、彼らは聖霊に満たされて、宣教活動を大胆に始めていきます。その活動の具体的な内容は使徒言行録に記されていますが、イエスさまが十字架につけられる直前にイエスさまのことを3回も知らないと言ったペトロが、聖霊に満たされた後は大勢の人々に対して声を張り上げて堂々と宣教を行います。ペトロのこの態度は、間違いなく聖霊に強められたことによるのです。そして、ペトロやパウロをはじめとする使徒たちの宣教活動は、聖霊によって強められて今日まで進められていきます。世界各地の教会が礼拝の中で又はさまざまな機会を用いてみ言葉を語り、宣教を行いますが、それらの業一つひとつが聖霊によって強められているのです。


来週の日曜日は、イエスさまの約束のとおりに聖霊が遣わされたことを憶える、聖霊降臨日(ペンテコステ)です。イエスさまがご自身の昇天によって与えてくださった神さまの愛と恵みを感謝しながら、新しい一週間を歩み出したいと思います。

以 上

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