2023年11月5日 全聖徒主日 召天者記念礼拝
マタイによる福音書5章1~12節
福音書 マタイ 5: 1~12 (新6)
1イエスはこの群衆を見て、山に登られた。腰を下ろされると、弟子たちが近くに寄って来た。 2そこで、イエスは口を開き、教えられた。
3「心の貧しい人々は、幸いである、
天の国はその人たちのものである。
4悲しむ人々は、幸いである、
その人たちは慰められる。
5柔和な人々は、幸いである、
その人たちは地を受け継ぐ。
6義に飢え渇く人々は、幸いである、
その人たちは満たされる。
7憐れみ深い人々は、幸いである、
その人たちは憐れみを受ける。
8心の清い人々は、幸いである、
その人たちは神を見る。
9平和を実現する人々は、幸いである、
その人たちは神の子と呼ばれる。
10義のために迫害される人々は、幸いである、
天の国はその人たちのものである。
11わたしのためにののしられ、迫害され、身に覚えのないことであらゆる悪口を浴びせられるとき、あなたがたは幸いである。 12喜びなさい。大いに喜びなさい。天には大きな報いがある。あなたがたより前の預言者たちも、同じように迫害されたのである。」
今日は全聖徒主日です。召天者記念礼拝にようこそお越しくださいました。全聖徒主日の「全聖徒」とは、すべての信仰者という意味で、全聖徒主日は、先に天に召されたすべての信仰者を記念する日です。私たちの教会ではこの全生徒主日に召天者記念礼拝を行っています。今日みなさんが集われたのも、信仰の先輩方、特に先に天に召されたご家族を記念するためであると思います。亡くなった方を思い、その方が天の御国で安らかに憩われていることを祈り、そして私たちが生きているこの命の行く先について聖書を通して聞くのが今日という日であるのです。
聖書は死後の世界について、あまり多くのことを語っていません。聖書の一番はじめの部分、創世記には「人は土の塵から造られてやがて塵に返る」と記されています。人は有限の存在であり、やがては塵に返るだけ、というひとつの真理です。しかし聖書は同時に、死後に私たちを待つあらゆる希望と慰めについても語ります。今日の第一の朗読、ヨハネの黙示録では、死者たちが天使と共に永遠に神をほめたたえ、あらゆる苦しみが報われて永遠の平安に入るのだということが記されています。そこには民族の違いも言葉の違いもありません。飢えも渇きもありません。みんなお互いに分かり合って、平和に暮らしています。
第二の朗読、ヨハネの手紙は、私たちがいつか御子(イエス様)をありのままに見ることができる時が来るということを語っています。イエス様に会いたい、この目で見たい、というのは信仰者であれば誰もが抱く切なる願いです。どんなにイエス様を信じていたとしても、実際にイエス様に会うことはできません。生涯を通して慕い続けたイエス様に会うことができるのは、死んだ後だけであると聖書は語っています。亡くなられた信仰の先輩方が今イエス様の近くにおられるということ、そしていつかは私たちも同じように、イエス様の近くにいられるようになるということ、これは大きな希望です。
そして今日の福音書ではイエス様が「天には大きな報いがある」と教えられています。この地上での生涯を終えて天に帰る時、すべての悲しみは喜びに変えられ、すべての貧しさは豊かさに、すべての渇きは充足に変えられるというのです。イエス様は私たちの人生が楽しく幸せな時ばかりでないことをご存じです。他人から良い評価をしてもらえる時ばかりではないこともご存じです。しかし天の国では、私たちが地上で経験したどんなことも、神様が顧みてねぎらってくださるということをイエス様は約束してくださっています。どんなに困難な人生を歩まれた方でも、天の国ではもはや苦しみを知ることがないのです。
ですから今日、私たちは、先に天に召された方を思い、その方々がどんなに良いところにおられるかを信じたいと思います。そして祈りを通して、その方々と一つになりたいと思います。私たちがここに記念する大切な方々は、天の御国で平安のうちに休んでおられます。悲しみや苦しみが報われて、イエス様と共に過ごしておられます。死は終わりではなく、天の御国で生きる新しい命の始まりです。先に天に召された方々は、天の国で新しく生き、神様のもとで私たちを見守ってくれています。
私たちもまた、少しずつ年を重ねて、少しずつ天の国に近づいています。住み慣れた地上の家を離れることは当然不安なことでもありますが、しかし同時に、私たちが聖書を信じるならば、そこには大きな希望があると言うことができます。聖書はこの地上の人生の先に、天国での再会、そして天国で生きる新しい命があると約束しているからです。私たちはいつか、イエス様と顔と顔を合わせて合うことができる日、大切な方々と天の国で再び会うことができる日を迎えます。その希望に満たされてこの地上での日々を歩んでいきたいと思います。
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