top of page
  • Writer's picturejelckokura

神は今、あなたと共におられる

Updated: Oct 11, 2020


ヨハネによる福音書4章5-42節

4:5 それで、ヤコブがその子ヨセフに与えた土地の近くにある、シカルというサマリアの町に来られた。 4:6 そこにはヤコブの井戸があった。イエスは旅に疲れて、そのまま井戸のそばに座っておられた。正午ごろのことである。 4:7 サマリアの女が水をくみに来た。イエスは、「水を飲ませてください」と言われた。 4:8 弟子たちは食べ物を買うために町に行っていた。 4:9 すると、サマリアの女は、「ユダヤ人のあなたがサマリアの女のわたしに、どうして水を飲ませてほしいと頼むのですか」と言った。ユダヤ人はサマリア人とは交際しないからである。 4:10 イエスは答えて言われた。「もしあなたが、神の賜物を知っており、また、『水を飲ませてください』と言ったのがだれであるか知っていたならば、あなたの方からその人に頼み、その人はあなたに生きた水を与えたことであろう。」 4:11 女は言った。「主よ、あなたはくむ物をお持ちでないし、井戸は深いのです。どこからその生きた水を手にお入れになるのですか。 4:12 あなたは、わたしたちの父ヤコブよりも偉いのですか。ヤコブがこの井戸をわたしたちに与え、彼自身も、その子供や家畜も、この井戸から水を飲んだのです。」 4:13 イエスは答えて言われた。「この水を飲む者はだれでもまた渇く。 4:14 しかし、わたしが与える水を飲む者は決して渇かない。わたしが与える水はその人の内で泉となり、永遠の命に至る水がわき出る。」 4:15 女は言った。「主よ、渇くことがないように、また、ここにくみに来なくてもいいように、その水をください。」 4:16 イエスが、「行って、あなたの夫をここに呼んで来なさい」と言われると、 4:17 女は答えて、「わたしには夫はいません」と言った。イエスは言われた。「『夫はいません』とは、まさにそのとおりだ。 4:18 あなたには五人の夫がいたが、今連れ添っているのは夫ではない。あなたは、ありのままを言ったわけだ。」 4:19 女は言った。「主よ、あなたは預言者だとお見受けします。 4:20 わたしどもの先祖はこの山で礼拝しましたが、あなたがたは、礼拝すべき場所はエルサレムにあると言っています。」 4:21 イエスは言われた。「婦人よ、わたしを信じなさい。あなたがたが、この山でもエルサレムでもない所で、父を礼拝する時が来る。 4:22 あなたがたは知らないものを礼拝しているが、わたしたちは知っているものを礼拝している。救いはユダヤ人から来るからだ。 4:23 しかし、まことの礼拝をする者たちが、霊と真理をもって父を礼拝する時が来る。今がその時である。なぜなら、父はこのように礼拝する者を求めておられるからだ。 4:24 神は霊である。だから、神を礼拝する者は、霊と真理をもって礼拝しなければならない。」 4:25 女が言った。「わたしは、キリストと呼ばれるメシアが来られることは知っています。その方が来られるとき、わたしたちに一切のことを知らせてくださいます。」 4:26 イエスは言われた。「それは、あなたと話をしているこのわたしである。」 4:27 ちょうどそのとき、弟子たちが帰って来て、イエスが女の人と話をしておられるのに驚いた。しかし、「何か御用ですか」とか、「何をこの人と話しておられるのですか」と言う者はいなかった。 4:28 女は、水がめをそこに置いたまま町に行き、人々に言った。 4:29 「さあ、見に来てください。わたしが行ったことをすべて、言い当てた人がいます。もしかしたら、この方がメシアかもしれません。」 4:30 人々は町を出て、イエスのもとへやって来た。 4:31 その間に、弟子たちが「ラビ、食事をどうぞ」と勧めると、 4:32 イエスは、「わたしにはあなたがたの知らない食べ物がある」と言われた。 4:33 弟子たちは、「だれかが食べ物を持って来たのだろうか」と互いに言った。 4:34 イエスは言われた。「わたしの食べ物とは、わたしをお遣わしになった方の御心を行い、その業を成し遂げることである。 4:35 あなたがたは、『刈り入れまでまだ四か月もある』と言っているではないか。わたしは言っておく。目を上げて畑を見るがよい。色づいて刈り入れを待っている。既に、 4:36 刈り入れる人は報酬を受け、永遠の命に至る実を集めている。こうして、種を蒔く人も刈る人も、共に喜ぶのである。 4:37 そこで、『一人が種を蒔き、別の人が刈り入れる』ということわざのとおりになる。 4:38 あなたがたが自分では労苦しなかったものを刈り入れるために、わたしはあなたがたを遣わした。他の人々が労苦し、あなたがたはその労苦の実りにあずかっている。」 4:39 さて、その町の多くのサマリア人は、「この方が、わたしの行ったことをすべて言い当てました」と証言した女の言葉によって、イエスを信じた。 4:40 そこで、このサマリア人たちはイエスのもとにやって来て、自分たちのところにとどまるようにと頼んだ。イエスは、二日間そこに滞在された。 4:41 そして、更に多くの人々が、イエスの言葉を聞いて信じた。 4:42 彼らは女に言った。「わたしたちが信じるのは、もうあなたが話してくれたからではない。わたしたちは自分で聞いて、この方が本当に世の救い主であると分かったからです。」

「私たちの父なる神と主イエス・キリスト(「救い主」という意味の称号)から、恵みと平安とが、あなたがたにあるように。アーメン」

本日は、イエスが「サマリア」の町に行かれた時の出来事を聴いてまいります。

「そこにはヤコブの井戸があった。イエスは旅に疲れて、そのまま井戸のそばに座っておられた。正午ごろのことである。サマリアの女が水をくみに来た。イエスは、『水を飲ませてください』と言われた。弟子たちは食べ物を買うために町に行っていた。すると、サマリアの女は、『ユダヤ人のあなたがサマリアの女のわたしに、どうして水を飲ませてほしいと頼むのですか』と言った。ユダヤ人はサマリア人とは交際しないからである」(4:6-9)。

聖書の舞台は、ヨルダン川を中心とした地域です。

ヨルダン川の上流と下流には、それぞれ湖があります。北のガリラヤ湖から、海よりも400mも低い場所にある南の死海へと川が流れるのです。(死海は、水が逃げ場なく干上がることで塩分濃度が高くなり、人が泳がずとも浮かぶことから現在は観光名所となっています。)

ヨルダン川周辺は、大昔から他の地域よりも作物や果物が取れたようです。そのため、戦争が絶えない場所でした。当然、ユダヤ人の先祖がこの土地を手にしてからも、何度も侵略を受け、多くの民が連れていかれた歴史も伝えられています。その際、サマリアへと多くの移民が住み着いたのです。

移民が住み着くとは、文化や宗教が入り混じるということです。やがて、もともと住んでいた人々と異邦人とが結婚をし、子孫は増えていきました。ユダヤ人は、外国の文化に染まったその地域に住む人々を「サマリア人」と呼び、軽蔑したのです。

しかしサマリアには、昔はユダヤ人だった者、同じヤハウェ神を信じ、同じ聖書を読んできた者たちが居ました。エルサレム神殿には入れてもらえなくなったため、近くの山にある神殿で信仰を守り続けていたようです。

さて、イエスはサマリアで一休みをされました。ガリラヤからユダヤに向かうためには、サマリアを通るのが近道だったからでしょう。

正午ごろ、井戸に座っていたイエスは、水を汲みにきた一人の女性へと「水を飲ませてください」と頼みました。先ほど申しました通り、ユダヤ人はサマリア人を軽蔑し、出来る限り関係を持たないようにしていました。

近道として通り、宿や店を利用するけれども、何かあると「サマリア人は…」と文句を言う。そのようなユダヤ人に嫌気がさしていたのかもしれません。女性は、「サマリア人と関係しないのでは?」と嫌みを含めた言い方で問い返しました。ここから、問答が始まるのです。

「もしあなたが、神の賜物を知っており、また、『水を飲ませてください』と言ったのがだれであるか知っていたならば、あなたの方からその人に頼み、その人はあなたに生きた水を与えたことであろう。・・・この水を飲む者はだれでもまた渇く。しかし、わたしが与える水を飲む者は決して渇かない。わたしが与える水はその人の内で泉となり、永遠の命に至る水がわき出る」(4:10,13,14)。

乾燥地帯で、井戸は命綱です。実際にその町の井戸は、昔から多くの人々を潤し、生かしてきました。しかしイエスは突然、「わたしは、あなたが二度と渇かないように、生きた水を与えることができる」と言われたのだというのです。

「生きた水」とは、流れがある川や泉を指します。人の内で湧き続け、潤し、「永遠の命に至る水」とは一体何でしょうか。

水を汲みに来たこの女性には、のどの乾きではない、渇きがありました。心の渇きと言い換えることができるでしょうか。

彼女には、かつて夫となった者が5人居ました。現在は、夫ではない男性と一緒に住んでいることを、イエスは言い当てたのです。別れた理由は書かれていませんが、死別でしょうか。いずれにしても、それだけ出会いと別れを繰り返せば、「彼女に問題があるのではないか?」と周囲の人々は思うでしょう。日差しの強い正午に水を汲みに来た理由は、人目を避けるためだったのかもしれません。イエスは、彼女の背負う重荷を知っておられたのです。

「イエスは言われた。『婦人よ、わたしを信じなさい。あなたがたが、この山でもエルサレムでもない所で、父を礼拝する時が来る。・・・まことの礼拝をする者たちが、霊と真理をもって父を礼拝する時が来る。今がその時である。なぜなら、父はこのように礼拝する者を求めておられるからだ』」(4:21,23)。

ユダヤ人は、「サマリア人の神は偽物だ」と言う。苦しさの中で、神にも身を任せられない彼女の状況は、井戸から溜まった水を汲み、繰り返し、のどを潤さなければならない生活に似ています。

しかしイエスは、神が今、彼女と共におられることを宣言されたのです。エルサレム神殿でも、サマリアの山にある神殿でもなく、今ここで神を礼拝することができる。それは渇く彼女を、神が確かに知り、その祈りを聴かれるということです。彼女自身の事を言い当てたイエスを通して、彼女はその真実を知らされたのです。

「女が言った。『わたしは、キリストと呼ばれるメシアが来られることは知っています。その方が来られるとき、わたしたちに一切のことを知らせてくださいます。』イエスは言われた。『それは、あなたと話をしているこのわたしである。』・・・女は、水がめをそこに置いたまま町に行き、人々に言った。『さあ、見に来てください。わたしが行ったことをすべて、言い当てた人がいます。もしかしたら、この方がメシアかもしれません』」(4:25,26-29)。

水がめを置き、町に出かけていった姿に、溢れ出す「生きた水」の流れに押し出されて始まった、彼女の新しい人生を見るのです。そして、渇いていたはずの女性を通して、多くのサマリア人がイエスを知ることとなりました。

「渇いている人はだれでも、わたしのところに来て飲みなさい。わたしを信じる者は、聖書に書いてあるとおり、その人の内から生きた水が川となって流れ出るようになる」(7:37,38)。

私たちを真に潤すイエスの言葉を、受け取りたいのです。

「望みの神が、信仰からくるあらゆる喜びと平安とをあなたがたに満たし、聖霊の力によって、あなたがたを望みにあふれさせてくださるように。アーメン」

49 views0 comments

Recent Posts

See All

救いを見る

2020年12月27日 降誕節第1主日 ルカによる福音書2章22~40節 22さて、モーセの律法に定められた彼らの清めの期間が過ぎたとき、両親はその子を主に献げるため、エルサレムに連れて行った。 23それは主の律法に、「初めて生まれる男子は皆、主のために聖別される」と書いてあるからである。 24また、主の律法に言われているとおりに、山鳩一つがいか、家鳩の雛二羽をいけにえとして献げるためであった。

救い主が生まれる

2020年12月24日 クリスマス・イブ ルカによる福音書2章8~20節 その地方で羊飼いたちが野宿をしながら、夜通し羊の群れの番をしていた。すると、主の天使が近づき、主の栄光が周りを照らしたので、彼らは非常に恐れた。天使は言った。「恐れるな。わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる。今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである。あなたがたは、布にく

クリスマスおめでとう

2020年12月20日 主の降誕 ルカによる福音書2章1~14節 1そのころ、皇帝アウグストゥスから全領土の住民に、登録をせよとの勅令が出た。 2これは、キリニウスがシリア州の総督であったときに行われた最初の住民登録である。 3人々は皆、登録するためにおのおの自分の町へ旅立った。 4ヨセフもダビデの家に属し、その血筋であったので、ガリラヤの町ナザレから、ユダヤのベツレヘムというダビデの町へ上って行

bottom of page