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救い主が生まれる

2020年12月24日 クリスマス・イブ

ルカによる福音書2章8~20節


その地方で羊飼いたちが野宿をしながら、夜通し羊の群れの番をしていた。すると、主の天使が近づき、主の栄光が周りを照らしたので、彼らは非常に恐れた。天使は言った。「恐れるな。わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる。今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである。あなたがたは、布にくるまって飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子を見つけるであろう。これがあなたがたへのしるしである。」すると、突然、この天使に天の大軍が加わり、神を賛美して言った。

「いと高きところには栄光、神にあれ、

地には平和、御心に適う人にあれ。」

天使たちが離れて天に去ったとき、羊飼いたちは、「さあ、ベツレヘムへ行こう。主が知らせてくださったその出来事を見ようではないか」と話し合った。そして急いで行って、マリアとヨセフ、また飼い葉桶に寝かせてある乳飲み子を探し当てた。その光景を見て、羊飼いたちは、この幼子について天使が話してくれたことを人々に知らせた。聞いた者は皆、羊飼いたちの話を不思議に思った。しかし、マリアはこれらの出来事をすべて心に納めて、思い巡らしていた。羊飼いたちは、見聞きしたことがすべて天使の話したとおりだったので、神をあがめ、賛美しながら帰って行った。


クリスマスおめでとうございます。今年もクリスマス・イブがやってきました。例年でしたらみんなで教会に集まってお祝いしていたところですが、今年はそれもありません。みなさんそれぞれの場所でクリスマスを過ごされていることと思います。イースターもペンテコステも礼拝がお休みだった小倉教会にとって、クリスマスはひときわ楽しみなイベントでした。クリスマス礼拝の後に祝会はできないけどお菓子を配ろうねとか、みんなでお揃いのマスクを着けたらどうだろうかとか、いろいろと計画していましたが、それもかなわず礼拝中止ということになりました。


しかしクリスマスは私たちが神様のために色々な行いをするから特別な日になるのではありません。イエス様が私たちのためにお生まれになってくださったから特別な日であるのです。クリスマス・イブを特別な日にするのは、私たちがどれだけ祈ったかとか、誰と過ごしたかとか、どんなプレゼントをもらってどんなごちそうを食べたかとか、そういうことではありません。今日この日を特別な日にしてくださるのは神様です。イエス様が私たちのためにこの世に生まれてきてくださったというそのことだけが、クリスマス・イブを特別な日にしてくれます。イエス様がお生まれになるという、この最も特別な日に私たちがしなければならないことは何もありません。今日一日いつも通りに過ごしたとしても、礼拝がなくなったとしても、イエス様がお生まれになったというその知らせを聞くならば、クリスマス・イブは神様によって特別な日にされるのです。


そのことは今日の聖書の物語からも明らかになります。聖書に記されているイエス様の誕生の次第は、とても慎ましくて、どちらかというとさびしいと言っていいくらいのものでした。救い主の誕生と聞いて、当時の人々はもっと目立った、特別な何かを想像したと思います。しかしイエス様はなんの変哲もないおうちに生まれ、生まれた場所は民家の一室か家畜小屋で、最初に訪ねてきたのは羊飼いという社会的地位の低い人たちでした。イエス様は光輝く姿で生まれてきたわけでも、王様や祭司の家に生まれてきたわけでもないのです。ただベツレヘムでダビデの家に生まれたこと、そして天使が現れたことだけが、イエス様が救い主であることを静かに証ししていました。


今日の聖書の物語では、羊飼いたちが天使のお告げを受けて、生まれたばかりのイエス様を拝みに行きます。羊飼いという仕事はイスラエルにおいて非常に一般的であった職業です。旧約聖書の英雄、王となったダビデも羊飼いをしていました。しかし社会的地位が高い仕事だったかというとそうでもなくて、むしろあまり好まれない職業だったと言われています。生き物の世話には休みがありませんから、羊飼いは安息日ごとに休みを取ることが難しい職業でした。みんなが休んでいる安息日にも働かなければならない。安息日に働いている人は宗教的にも正しいとは言えない。そういった理由で羊飼いという仕事は敬遠されて、いつしか社会的地位の低い職業とみなされるようになりました。


そんな羊飼いたちのところに天使が現れます。そして救い主がお生まれになったと告げるのです。イスラエルが何百年も待ち望んでいた救い主が生まれた。そしてそれは民全体に与えられる大きな喜びである。それを他でもないあなたがたに告げるというのです。イスラエルの民全体を代表して救い主のお生まれを告げられるという大きなお役目を羊飼いたちはいただきます。そして、行ってイエス様を拝み、みんなにそのことを話して回りました。こうして彼らは、赤ちゃんのイエス様を訪ねて行った、最初の人となりました。


羊飼いは大臣や祭司や長老とは違います。彼らが訪ねていったからといって、イエス様が社会で特別な人と見なされるようになるわけではありません。有名人になるわけでも、周りから一目置かれるようになるわけでもありません。でも神様は最初の訪問者に羊飼いを選ばれました。神は、御子の誕生が特別なものとされるのに人の力を必要としないからです。神は全能の存在、人の力を借りなくても神の子は神の子、クリスマスはクリスマスです。ですから神はむしろ、御子のお生まれにあたって、社会で重んじられていない人が活躍することを望まれました。羊飼いたちの夜を特別なものにしてくれました。神様はイエス様のお生まれを通して、なんの変哲もない人々の日常を祝福にあふれさせ、尽きることのないよろこびをそそいでくださいます。


今日みなさんの一日がどんなにいつも通りであったとしても、神様は確かにこの日を特別な日にしてくださっています。今日、この夜、私たちのためにイエス様がお生まれになったからです。クリスマスおめでとうございます。おうちで過ごす今年のクリスマスに祝福がありますように。

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