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  • Writer's picturejelckokura

天に昇るイエス

2022年5月29日 主の昇天

ルカによる福音書24章44~53節


福音書  ルカ24:44~53 (新161)

24: 44イエスは言われた。「わたしについてモーセの律法と預言者の書と詩編に書いてある事柄は、必ずすべて実現する。これこそ、まだあなたがたと一緒にいたころ、言っておいたことである。」 45そしてイエスは、聖書を悟らせるために彼らの心の目を開いて、 46言われた。「次のように書いてある。『メシアは苦しみを受け、三日目に死者の中から復活する。 47また、罪の赦しを得させる悔い改めが、その名によってあらゆる国の人々に宣べ伝えられる』と。エルサレムから始めて、 48あなたがたはこれらのことの証人となる。 49わたしは、父が約束されたものをあなたがたに送る。高い所からの力に覆われるまでは、都にとどまっていなさい。」

50イエスは、そこから彼らをベタニアの辺りまで連れて行き、手を上げて祝福された。 51そして、祝福しながら彼らを離れ、天に上げられた。 52彼らはイエスを伏し拝んだ後、大喜びでエルサレムに帰り、 53絶えず神殿の境内にいて、神をほめたたえていた。


今日は主の昇天の主日です。主の昇天(昇天祭)は復活のイエス様が天に昇られたことをおぼえる日にあたります。イエス様が地上での活動を終えられるとともに、天に昇られ、父なる神様のもとに帰られたことが記念されます。イエス様が復活の40日後に昇天したという聖書の記述から、昇天祭は伝統的に、復活日から数えて40日後の木曜日に祝われてきました。そのため先週の木曜日が祝日だった国も世界に目を向ければ複数あります(フランス、ドイツ、インドネシアなど)。しかし週日に礼拝するのが難しい日本のような国では、このように日曜日を昇天祭として礼拝することが多いです。


主の昇天の日は国によっては祝日になるくらい重要な日ですが、私たちの信仰上においても、イエス様が天に昇られたこの日は「イースターが終わり」「聖霊降臨が迫っていること」をあらわす重要な一日です。私たちはこの日、復活のイエス様をいよいよ地上から見送り、復活の喜びはそのままに、今度はイエス様の約束された聖霊を待つことに目を向けます。この期間は主の復活、そして聖霊降臨というキリスト教信仰を形作る重要な出来事を追体験するための大切な期間です。


そもそも私たちが6週にわたって過ごしてきた復活節の日々は、中世までのキリスト教会において教会暦上最も重要視された期間であると言われています。(中世以降は四旬節のほうに比重が移ります。)それは第一に、復活信仰というのがキリスト教の要であるからですが、私はもう一つ、この復活節の期間にイエス様の教えというのがまんべんなく語られているからではないかと考えています。愛、赦し、互いに愛し合うこと、イエス様の言葉を守ること、聖霊の働きを信じること、これらのことが復活節において私たちに改めて教えられ、私たちの信仰を形作っているからです。


これまで私たちが過ごしてきた復活節の日々を少し振り返ってまいりましょう。まず復活のイエス様はさまざまなやり方で弟子たちの前にあらわれてくださいました。自分を見捨てて逃げてしまった弟子たちに対して、イエス様はそのことをとがめません。イエス様は圧倒的な愛と赦しをもって弟子たちに接してくださいました。そしてイエス様は弟子たちが復活を信じられるように、傷跡に指を入れてみなさいと言われたり、大漁の奇跡をお見せになったりして、色々な方法でご自分を証ししてくださいました。このことは私たちに、私たちにも同じ愛と赦しが及んでいるということ、私たちも同じようにイエス様に助けられて信仰を持ち続けているということを思い起こさせました。


続いて私たちは、イエス様が弟子たちに向けて残された言葉を改めて振り返りました。弟子たちはそれらの言葉を頼りに、イエス様昇天後の日々を生きていくことになります。イエス様は弟子たちに「互いに愛し合いなさい」と言われ、この掟を守る限り、弟子たちとイエス様はつながり続けるということを教えられました。そしてまたイエス様は聖霊を約束され、その聖霊が、イエス様が天に昇られた後も、イエス様のことを思い起こさせ、イエス様について教えてくれるだろうと語られました。このことから、私たちも同じように、相互の愛を尊び、聖霊の助けのもとに信仰生活を送っています。


このように復活節の日々を通して、私たちは私たちの信仰生活を形作るものの根本を学び取ります。それは互いに愛し合うことであり、イエス様と聖霊の助けによるものであるということが明らかになりました。そうしていよいよイエス様は天に昇られます。イエス様は地上を離れ、はじめからご自身のために備えられていた場所、つまり神様のみそばへと行かれるのです。ルカ22章69節にはイエス様が「しかし、今から後、人の子は全能の神の右に座る。」と言われたとあります。「神の右」とは「神様から一番近いところ」という意味です。そのお言葉通りイエス様は天に昇って行かれ、神様から一番近いところで、弟子たちとそして私たちを見守ることにされたのです。


イエス様が天に昇られた後、弟子たちはイエス様を拝み、大喜びでエルサレムに帰ります。イエス様とのお別れの直後でありながら、彼らはちっとも悲しそうではありません。それは復活のイエス様が弟子たちの信仰を強め、聖霊を約束してくださったからです。弟子たちはもう、イエス様が地上を去られても、ずっと彼らとつながっていてくださるということを知っています。イエス様が地上を離れても、聖霊が降って来られることを信じています。だからイエス様と離れても喜んでいられるのです。


私たちもまた同じです。イエス様復活後の日々を6週にわたって追体験してきた私たちはイエス様の言葉に満たされていて、私たちのうちには聖霊が降るのを待ち望む心が形作られています。復活節を丁寧に過ごしてきたからこそ昇天日はお祝いであり得ます。主の昇天は起こっていることだけ見れば悲しいお別れの日です。しかしそれが単なる別れではないということを知っているからこそ、イースターのあと毎週聖書を読んできたからこそ、この日はすばらしい喜びの日、祭りの日であり得るのです。


私たちは今、イエス様が約束通り栄光のうちに天に昇られた喜びと、聖霊降臨の期待に満ちています。来週は私が着任してから初めて教会に集まってペンテコステをお祝いします(2020年と2021年はコロナで礼拝中止でした)。また来週は中高生のみなさんの奉仕も予定されています。来週はここでみなさんと聖霊降臨の喜びを分かち合いたいと思います。

  

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