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主の顕現

2025年1月4日・5日 主の顕現

マタイによる福音書2章1~12節


福音書  マタイ 2: 1~12 (新2)

2:1イエスは、ヘロデ王の時代にユダヤのベツレヘムでお生まれになった。そのとき、占星術の学者たちが東の方からエルサレムに来て、 2言った。「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか。わたしたちは東方でその方の星を見たので、拝みに来たのです。」 3これを聞いて、ヘロデ王は不安を抱いた。エルサレムの人々も皆、同様であった。 4王は民の祭司長たちや律法学者たちを皆集めて、メシアはどこに生まれることになっているのかと問いただした。 5彼らは言った。「ユダヤのベツレヘムです。預言者がこう書いています。

6『ユダの地、ベツレヘムよ、

お前はユダの指導者たちの中で

決していちばん小さいものではない。

お前から指導者が現れ、

わたしの民イスラエルの牧者となるからである。』」

7そこで、ヘロデは占星術の学者たちをひそかに呼び寄せ、星の現れた時期を確かめた。 8そして、「行って、その子のことを詳しく調べ、見つかったら知らせてくれ。わたしも行って拝もう」と言ってベツレヘムへ送り出した。 9彼らが王の言葉を聞いて出かけると、東方で見た星が先立って進み、ついに幼子のいる場所の上に止まった。 10学者たちはその星を見て喜びにあふれた。 11家に入ってみると、幼子は母マリアと共におられた。彼らはひれ伏して幼子を拝み、宝の箱を開けて、黄金、乳香、没薬を贈り物として献げた。 12ところが、「ヘロデのところへ帰るな」と夢でお告げがあったので、別の道を通って自分たちの国へ帰って行った。

 

今日は主の顕現(けんげん)の主日です。教会の暦は毎年1月6日を顕現日と定めており、実際には1月2日から8日のどこかの日曜日にそれをお祝いすることになっています。「顕現」とは神がその姿をはっきりとお見せになることを意味します。ですから顕現日はイエス様が肉体をもって目に見える形でこの世に来られたこと、そしてイエス様がこの世におおやけに顕(あら)わされたことを記念する日です。顕現日には伝統的に、占星術の学者たちがイエス様を訪問する箇所が読まれます。ちなみにこれはルーテル教会を含む西方教会の伝統で、ギリシア正教やロシア正教といった東方教会においてはイエス様の洗礼の箇所が読まれることになっています。どちらも、イエス様が神として世の中に顕わされたことを告げる箇所です。


  今日の聖書の物語には「占星術の学者たち」が登場します。「博士」と訳されることもありますが、彼らがどういう人たちであったのか、実ははっきりとしたことはわかっていません。しかし彼らは「星を見たので、拝みに来たのです」と言っていますから、星の動きを見て世の中の動きを予測することが彼らの生業であったと思われます。古来、偉大な人物が生まれる時/死ぬ時には何らかの天体現象が伴うと信じられてきました。ですから大きな事件が起こる前触れとして星の動きを観察するのが彼らの仕事であったのです。聖書の時代、占い師というのは独立した職業というよりも王に属する僕でした。例えばダニエル書2章にはネブカドネツァル王が命令して占い師を呼び寄せる場面が描かれています。


  そんな学者たちは東方からエルサレムにやってきて「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか。わたしたちは東方でその方の星を見たので、拝みに来たのです。」と言います。この「東方」がどこかというのも諸説あって、ペルシアともバビロニアとも、アラビア半島とも言われています。しかし彼らが異邦人であったということは確かです。それは彼らが「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか。」と聞いていることからわかります。もし彼らがユダヤ人であれば、メシアがベツレヘムで生まれるということは当然知っていたはずだからです。


  さてこの話を聞いて不安を抱いた人物がいました。王様であるヘロデです。ここで言われているヘロデ王はいわゆる「ヘロデ大王」のことで、紀元前37年から紀元前4年までイスラエルを治めた人物です。王であった彼が「新しい王が生まれた」と聞いて動揺しないはずはありません。自らの地位が侵される不安を感じたヘロデは、さっそく行動を起こします。まずヘロデは祭司長たちや律法学者たちを集めて「メシアはどこに生まれることになっているのか」と問いただしました。ヘロデはエドムの出身でユダヤ人ではありませんでしたので、救い主がベツレヘムに生まれるという預言に詳しくなかったのでありましょう。


  ヘロデは祭司長たちや律法学者たちの「ユダヤのベツレヘムです」という答えを受け取って、さらなる手段に出ます。占星術の学者たちをひそかに呼び寄せて、星の現われた時期を確かめたのです。星の現われた時期が未来の反逆者である「新しい王」の生まれた時期に一致するはずと考え、それを突き止めようとしたのでした。さらにヘロデは「行って、その子のことを詳しく調べ、見つかったら知らせてくれ。わたしも行って拝もう」と言って占星術の学者たちをベツレヘムへ送り出します。「わたしも行って拝もう」というのはヘロデの本心ではありません。占星術の学者たちから情報を得ることで、確実に「新しい王」を殺そうと計画していたのです。


  そうしてヘロデに送り出された学者たちは、イエス様のいるベツレヘムを目指します。ベツレヘムはエルサレムから約9㎞の距離にあり、彼らは一晩でイエスのいる場所にたどり着くことができました。彼らを導く星がイエス様のいる場所の上に止まったのを見て、学者たちは喜びにあふれます。彼らはヘロデと違って、この新しい王を純粋に拝むためにはるばる東方からやってきたのです。そして彼らは持参した贈り物を捧げ、イエス様を拝んだのでした。最後に占星術の学者たちは「ヘロデのところへ帰るな」と夢を通してお告げを受けます。彼らは別の道を通って自分たちの国へ帰って行き、のちにそのことを知ったヘロデは激怒することになるのでした。


  これが主の顕現の日のお話しでした。イエス様は肉体をもって地上にお生まれになり、次第にイエス様という存在がこの世におおやけに顕わされていきます。私たちがクリスマスにルカ福音書を通して聞いたイエス様の誕生物語は、とっても地味で慎ましいものでした。しかし顕現日においては、そのイエス様の誕生が、実は特別な天体現象を伴い、異国の学者たちと一国の王を巻き込むような一大事であったことが明らかにされるのです。イエス様は天を動かすお方、異邦人を呼び集めることのできるお方、王に勝る力をお持ちであるお方であることが今日の物語の中に現されていました。新しい年をこの栄光のイエス様と共に歩み始めたいと思います。

 


 

1月4日・5日 教会の祈り

 

司)祈りましょう。

 

全能の神様。新しい一年がはじまりました。この一年もどうか私たちを守り、あなたの恵みのうちに導いてください。この年もあなたに信頼し、主にある喜びと希望をもって過ごすことができますように。

 

恵みの神様。この年も社会福祉法人光の子会をお守りください。光の子会の利用者のみなさん、ご家族のみなさん、職員のみなさんを2025年もあなたがお支えくださるよう祈ります。

 

慈しみの神様。各教会で行われている定期総会の準備をお守りください。年始の忙しい中作業をしてくださっている役員のみなさんをあなたが顧みてください。私たちが今年も無事に総会を開催することができますように。

 

私たちの主イエス・キリストによって祈ります。

会)アーメン


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